株式会社アルビレックス新潟 事業本部長 小山直久さん 「全員が最前線でかじを取る」
不況、不況といっても、世の中には円高などの恩恵を受けて売り上げを伸ばしている商社や、膨大な資金力を背景に、ヒット商品を次々に生み出すメーカーがある。しかし、こうした市況や会社のバックボーンに頼らずとも、独自の取り組みで高い成果を上げる現場が存在するのだ。
2003年にJリーグ年間入場者数の記録を8年ぶりに塗り替えたのは、当時J2に所属していたアルビレックス新潟だった。その記録66万7447人。翌年、待望のJ1昇格を果たすと「おらが町のチーム」を応援するサポーターの熱はさらに高まり、その後も集客記録を更新する。4万2000名収容の新潟スタジアム(ビッグスワン)が満員の興奮を迎える水面下には、関係者の地域を巻き込んだ集客活動があった。
クラブ創設からの生え抜きとして現場を取り仕切る小山さんに道のりを語ってもらった。
「アルビレックス新潟の社員は80名。これは選手も含めた人数で、運営業務を行う社員は37名にすぎないんです」。少数スタッフでJリーグチームの運営が行える秘訣(ひけつ)があるのだろうか。
「全員が最前線として頑張ることで組織運営が成り立っています。というか、少ない予算の中でも、社員全員がチーム・サポーター・新潟に熱い気持ちを持って、幅広い仕事に取り組むのが秘訣。 “毎日が学園祭”という慌ただしくもわくわくする感じで仕事に取り組んでいます」
実際に現場の社員が「試合前にフットサルのイベントをやろう」と言い出すと、別の社員が「じゃあ、オレは人工芝を借りてコートをつくってみるよ」という風に、現場の社員が連携して動いた。そうした、一つ一つの積み重ねが、集客へとつながっている。
ワールドカップを控えた2001年のアルビレックス新潟は、反町・前監督を迎えてJ2・4位の好成績。J1昇格への期待・スタジアム完成・ワールドカップ開催を背景に、サッカー文化は加速しながら浸透していく。
「サポーターづくりのため、まずスタジアムに足を運んでもらうことに注力しました。社員が話し合い考え出したのが、コミュニティの最小単位である“家族”にアプローチすること。広告ではなく、町の回覧板に試合の情報を盛り込んでもらい、無料入場希望者を募ろうと考えました。そうする有効性は、町内でアルビレックスのことが共通の話題となることです。地域おこしでもある旨を伝え、社員が町内会長のもとを、一軒一軒回りました。それが功を奏し県内全域から多くの観客が訪れるようになったのです」
こうした草の根活動の結果、当初は無料入場者だった観客の80%がリピート化。年間パスの売り上げ・有償観客が急増した。





