2週にわたって、仕事を楽しむ達人とは、意義、責任、成果という3つの実感を持って仕事に臨んでいる人であるという話をしてきました。しかし、たとえ仕事を楽しむ達人になれたとしても、ときにはスランプに陥ったり、気分が乗らないタイミングは訪れるもの。コンスタントに良い仕事をするためには、マイナス・スパイラルにはまってしまう前に、モチベーションダウンしている時間を少しでも短縮する方法を考えておく必要があります。今回は、その方法について解説していきましょう。
本当に落ち込んでしまったときに、自分で自分に「頑張れ!」と言い聞かせても限界がありますよね。そんなときには、右脳系と左脳系に働きかける方法の2つがあります。ここでいう右脳系とは人間の喜怒哀楽などの根源的な感情、左脳系とは論理や理性と考えてください。僕はもともと、認知と賞賛を求めるタイプ。認められたり褒められたりするとうれしくなって、やる気がどんどん湧いてきます。ですから右脳系に働きかけるパターンとして、シンクタンク勤務時代、次のような装置を自分で用意していました。それは「私設応援団」です。僕自身が落ち込んでしまったら、すぐにある同僚に会いに行って、必ず褒めてもらうのです(笑)。なんだ、そんなことかと思われるかもしれないですが、自分は右脳系人間だと思われる方はぜひ試してみてください(本連載第15 回「キャリア・メンターをつくろう」参照)。自分の仕事に意味があると褒められれば誰でもうれしいですよね。ただ、人によってはこれを素直に喜べるタイプとそうではないタイプがありますのでご注意を。
しかし、ときには左脳系に働きかけないとエンジンがかからないこともあります。これも僕が実践していた方法ですが、こんなやり方をしていました。締め切りが迫っているのに、研究レポートを書く気が起こらない。そんなときには、仕事道具を全部持ち込んで、自分がちょっと痛い出費だと思えるクラスのホテルの部屋を取るのです。仕事が終わらず1日宿泊を伸ばせば、さらにお金は出て行きます。「ここで頑張らなくては無駄な出費がかさむ」という理性が「やらざるを得ない」という気持ちを引き出してくれます。自分を追い込むイベントと言えるでしょう。少しマゾヒスティックなやり方かもしれませんが、これはとても効果がありました(笑)。
また僕の知り合いの営業マンは、こんな方法をとっていました。どうしても気分が乗らないときは、部下にどんどん営業同行のアポイントを入れさせるのだそうです。部下の手前もありますから、仕事に向かわざるを得なくなります。彼は仕事に取り組むきっかけさえつかめれば、クライアントとコミュニケーションすることによって刺激を受け、モチベーションが上がることを感覚的に知っていたのでしょうね。
さて、仕事のモチベーションを上げるもう少し簡単な方法もお教えしておきましょう。それは脳のスイッチが切り替わる状況を見つけること。「これをすればやる気がでる」という何かを自分なりにつかんでおくことです。僕の場合、最初はお酒を飲むことだと思っていたのですが、最近は水の中に入ることで脳のスイッチが切り替わることがわかりました。プールでもお風呂でも、何でもOKですね(笑)。いろんな人に聞いてみますと、「散歩」「夜更かしの映画鑑賞」「ジム」「好きな風景を見に行く」「ドライブ」「アロマ」と、人によってスイッチのポイントは千差万別。ぜひ、自分なりの脳切り替えスイッチを見つけておきましょう。ある意味、このスイッチは「思い込み」かもしれませんが、それで気持ちが切り替わって頑張れるのなら、その「思い込み」はあなたにとってはプラスの「思い込み」です。
「右脳に働きかける」「左脳に働きかける」「脳のスイッチを切り替える」という、大きく3つのモチベーションを取り戻すための方法を解説してきました。これら以外にも、まだいろいろなやり方があると思います。皆さんの周りに「あの人は、仕事を楽しむ達人だ」と思える同僚や先輩がいるならば、モチベーションをアップするためにどんなことをしているか聞いてみてもいいでしょう。
来週からは、職場でより良い人間関係を築いていくための考え方と方法を解説していきます。

