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“キャリア力”をつければ仕事はもっと楽しくなる!
「のだみ流・働(はた)(らく)論!」

第16回 自分に合った業界の探し方

  • 個別企業の前に、自分の適性に合った業界を知る。
  • 産業地図や業界本などの資料を活用しよう。
  • 大切なのは、業界の時間感覚、単位、距離感。

社名で転職先を考える人が多いと聞きます。それに対して、僕は「ちょっと待った!」と言いたい。産業全体を俯瞰した上で、その企業が属している業界特性をきちんと把握できていますか、と質問をしてみたいのです。個別企業にアプローチする前に、業界の特性が自分の適性に合っているかどうかを知っておくことはとても大切なことです。

では、その業界特性をどうやって調べるかというと、産業地図や業界本などの資料を活用するのがいいと思います。現在は、加熱する新卒の就職活動の影響もあって、たくさんの本が出版されています。これらをバカにして読まない人が多いのですが、とても便利ですし勉強になります。書店に行けば、たくさん見つかるはずです。

さて、それらの資料を手に入れた後、自分に合った業界を絞り込んでいく過程で仕事内容や待遇などの一般的な項目のほかに、「仕事の時間感覚」、「仕事の単位」、「人との距離感」の3つを考えるというのが僕の持論です。それではひとつずつ解説していきましょう。

(1)仕事の時間感覚
業界によって、仕事が進んでいくスピードにかなりの開きがあります。テレビや新聞などマスコミでは、秒や分単位で仕事をこなしていくスピードが求められます。一方で、電機メーカーの原子力研究の仕事は、ひとつの成果にたどり着くまで20年はかかる仕事といわれています。ちなみに、私が会社員時代に属していたコンサルティング業界は、だいたい開始から6カ月がひとつのプロジェクト完了の単位とされていました。自分にはどのような時間感覚で成果を出せる仕事がフィットするのか。仕事の時間感覚との相性はとても大事です。

(2)仕事の単位
これには2つあります。ひとつは、一人でも成果が出しやすい業界と、チームでないと成果が出しづらい業界があるということ。営業的要素の強い業界は、一人でも成果が出しやすいですが、メーカーなどでは一人で成果を出すことが難しい。100人いないと何もできないけど、その代わり大きな仕事ができるというわけです。ですので、自分は単独仕事に向いているか、チーム仕事に向いているかという見極めも重要です。もうひとつは、物理的な仕事の成果の大きさ。例えばですが、橋梁やビルなど大きなものをつくるのが好きか、半導体のような小さなものをつくるのが好きか。自分はどちらに達成感を感じるか、これも考えておくといいでしょう。

(3)人との距離感
仕事仲間や顧客との係わり合いをどのくらい持ちたいかということです。例えば、人と接することが好きだからホテルで働きたいという人がいたとします。確かにホテルはホスピタリティ業界ではありますが、実は顧客と一定の距離を保つことを求められる仕事なのです。長い時間をかけて少ない人と深く接する仕事が好きか、短い時間で多くの人と浅く接する仕事が好きかを考えて、その答えが前者だった場合、ホテル業界に行くべきではないのです。石ノ森正太郎さんの『HOTEL』のように、毎週あのような劇的な出合いはありませんから(笑)。仕事仲間や顧客との距離感という観点から、その業界特性も把握しておきましょう。

ほかにも、自分に裁量権がある仕事が好きか、決められたことをやることが好きか、また、朝型と夜型の仕事だとどっちが得意か、これらも考えておくべきですね。そうやって、まず自分の適性に合った仕事ができる業界を見つけておくことが、幸せな転職につながると思います。

自分に合った業界が見つかったら次は個別企業の選択です。来週はそのための情報収集術を解説していきます。

●Profile

野田 稔 (Minoru NODA)

多摩大学経営情報学部教授/(株)リクルート フェロー。

1981年、野村総合研究所入社。同社にて組織人事分野を中心に多数のプロジェクトマネージャーを勤める。経営コンサルティング一部長を経て、現職。 また、(株)アミューズに所属し、テレビ・ラジオ出演、著作・講演活動等でも活躍中。著書に 『やる気を引き出す成果主義ムダに厳しい成果主義』(青春出版社)、『コミットメントを引き出すマネジメント―社員を本気にさせる7つの法則』(PHP研究所)など多数。多くの企業、組織から研修講師などを務め、年間平均200本ものセッションをこなす人気コンサルタント。日本全国を飛び回る日々は続く。

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