仕事がきつい、給料が少ない、上司と合わない……などなど、転職したくなる理由は人それぞれ。ほかにもまだたくさんあるでしょう。今回は、僕が考える転職すべき理由とタイミングの見極め方をお話したいと思います。
僕が教えている大学の卒業生たちからの転職相談で一番多いのは、過重労働でまったく自分の時間がとれないというものです。しかし、この相談に関して純粋に体がきついだけと判断した場合、僕は「もうちょっと頑張ってみろ」とアドバイスしています。これは仕事に没頭できている時期であるとも考えられます。僕もシンクタンクに勤務していた頃は、激務で毎日深夜に帰るのは当たり前。会社のエレベーターで移動する時間も仮眠していたくらいですが、この時期にかなり力がついたという実感があります。キャリア形成をしていく中で、没頭体験というのはとても大切なものなのです。
次に、僕が「これは辞め時だ」と判断したケースを2つ紹介します。
(1)大手企業A社に就職したBさんのケース
話を聞いてみると、上司との関係が非常によくない。彼女の上司は元トップセールスの女性で、「頑張れば必ず成果はついてくる、成果が出ないのは頑張りが足りないからだ」というマネジメントスタイル。もちろん、本人は一所懸命頑張っているんですが、ずっとそう言われ続けているうちに、だんだんと自分は本当にダメかもしれないと思うように……。週に2日しっかり休めていたようですから、過重労働が理由ではなく、精神的なストレスから体を壊してしまっていた。それを薄々知りながら、会社側もなかなか改善しようとしない。これ以上この会社に居続けるのは、Bさんにとって良くないと判断しました。
(2)小規模広告代理店C社に就職したD君のケース
捨て看板などを主に扱う広告代理店で、電柱など公共物を広告設置場所として利用するため、営業活動上いくつかの違法行為をせざるを得ない。入社後にこれを知ってしまったD君は、自分の正義感との葛藤に悩み始めます。あげく、会社の愚痴を言わせたくないという理由で、社員同士で飲みに行くことを禁ずるという社内ルールが。それも2回見つかったら解雇だという。会社の考え方自体が、D君の正義感や生活信条と真っ向からずれているわけです。これはもう、続けるのは無理だなと判断しました。
仕事がいくらきつくとも、会社と自分との関係性や、仕事をする上で社内の人間関係が良ければ、僕は転職するのをいったんは引き止めるでしょう。しかし、精神的に参ってしまう仕事、自分の主義主張に反する仕事を続けていると、いつか必ず体が悲鳴をあげます。
例えば、胃を悪くしたり、発疹がでるなど体に症状が出てきたら、僕は「まず1週間休め」とアドバイスします。「会社に迷惑をかけますから、それは無理です」と、みんな言いますが、それは勝手にそう思い込んでいるだけです。仮に、体調不良の理由をしっかり説明して、それでも制度的に休ませてくれないような会社であれば、「すぐに辞めるべき」だと思います。いずれにせよ、健全な体がないと仕事は継続できません。心や体からのサインを見過ごさないようにしてください。
来週は、今回登場したBさん、D君にとっての僕のような「メンター」を社内外に持つことのメリットを解説していきます。

