「絶世の美女と付き合いたいなら、青山を歩け」。
これは、美人の彼女が欲しい欲しいと言いながらも、暇な時間があればパチンコ店に通っている友人に対して僕が呈した苦言です。もちろん冗談半分ですが(笑)。でも、みなさんも考えてみてください。パチンコ店の中よりも、東京・青山のほうが絶世の美女と出会える確率が高いと思いませんか?
当然、絶世の美女と出会えたとしても、お付き合いが始まるわけではありません。しかし、出会いの数をふやすことで、お付き合いできる可能性は高まります。つまりに、起きてほしい偶然が起こりやすい時間帯や場所を予測して、行動することが大切であるということ。これも「計画された偶発性」の上手な活用方法なのです。
男女関係の話はこれくらいにしまして、ここからが今回の本番です。ある行動によって希望の職場での仕事を手にした若者のケースを紹介しましょう。雑誌の編集者になりたかったA君のケースです。そもそも雑誌編集の求人自体とても少ないですし、中途採用の場合は実務経験者を求める場合がほとんど。それを知っていた未経験者A君は正攻法では難しいと判断し、こんな行動を開始しました。
自分が希望している雑誌社の近くにある居酒屋に通い、編集者との出会いを辛抱強く待ったのです。結果、A君は編集者と飲み友達になり、自分の熱意を一所懸命に伝え、アルバイトからのスタートですが、その雑誌社にもぐりこむことに成功しました。起こってほしい偶然を力ずくで呼び寄せた好例と言えますね。
しかし、残念ながら多くの人々は無意識に「計画された偶発性」を遠ざける行動をとっているようです。「将来はこの方向に進みたい」という夢があるのに、現状の忙しさなどを理由に変化のない毎日を漫然と過ごしている。これでは、宝くじを買っていないのに大当たりを期待しているようなものです。
夢を持ったときの選択肢は2つあります。ひとつは夢を大切に育むこと。もうひとつはなにもせず放置すること。夢を育んだ人には、必ず夢の恩返しがあります。仮に実現しなくても、再び新しい夢が必ず訪れる。夢を育むという行為が身体に染みついて、それが自分の夢を形にする技術となっていきます。だから、夢を見つけた人は恐れずにそこに近づくような行動をとるべきなのです。雑誌編集の仕事を手にしたA君のように。
「計画された偶発性」、“Planned Happenstance Theory”がアメリカで一世を風靡した理由として、それまでの確定的なキャリア論に対する反省がありました。例えばトップクラスの弁護士になりたいなら、難易度の高いロースクールに入って、このくらいの成績をとっていないとダメ。その後、メジャーの法律事務所に入所できたとしても、これくらいで出世しないとダメ。そんな確定理論で考えられていました。
これを裏返していくと、「いつまでにこれをやって、あれをやって」と考えざるを得ない。そして、もしも計画通りにいかなかった場合の精神的なショックはとても大きい。その結果、トップクラスの弁護士になりたいという夢はいっきに遠のいていく。さらに自分をダメな人間だと思い込んでしまう。これが確定的キャリア論の弊害です。
しかし、クランボルツ教授は、数百人のビジネスパーソンのキャリアを分析した結果、「キャリアの80%は予期しない偶然の出来事によって形成されている」という興味深い結論を導き出しました。ひとつの夢がついえたからといって、人生がそこで終わるわけではありません。夢を育んだ人には、再び新しい夢が必ず訪れるのですから。次の夢を見つけて、望ましい偶然を呼び寄せるための新しい行動をしていけばいいのです。
「計画された偶発性」は、過去の結果よりも将来の可能性を信じて生きて行きたい人には力強い指針になると思います。さあ、今日からぜひ、望ましい偶然をどんどん呼び込むための行動をしていきましょう!
来週は「転職すべきか否か」の見極め方について解説していきます。

