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編集記事

“キャリア力”をつければ仕事はもっと楽しくなる!
「のだみ流・働(はた)(らく)論!」

第12回 「計画された偶発性」の実践(前編)

  • 「未来は不確実」という前提をもつ。
  • ある程度ドリフト(漂流)してもいい。
  • 「美点凝視」で経験を積み重ねる。

クリントン元米国大統領の令嬢がスタンフォード大学に入学したとき、彼女はマスコミの取材に対して自分は大学で何をどのようなタイミングで学び、それを将来のキャリアにどう生かすのか、きっぱりと、そして事細かに述べたそうです。

前回ご紹介したスタンフォード大学のクランボルツ教授は、この話を聞いて呆れてしまったと言います。大学生活が始まる前から、将来こうあらねばならないという確定論で自分を縛りつけてしまうと、将来、計画通りにいかず自分を責め、悩み、新たな可能性の芽を自ら摘んでしまうことが大いにありえるのだと。

「計画された偶発性」、“Planned Happenstance Theory”を提唱するクランボルツ教授からしてみれば、将来のことなどわからなくて当たり前なのであるから、まずは押し寄せてくる予期せぬ偶然に対して、柔軟に対応していく姿勢を持つべきだということなのでしょう。

僕自身もそうだったのですが、幸せなキャリアとは、ある程度ドリフト(漂流)しながら築き上げていっていいのだと思っています。特に現代は、私たちを取り巻くさまざまな環境がものすごいスピードで変化していますし、自分自身も時間とともに変化していきます。

「早い時期に将来の設計図を描き、その実現に向けて計画的にキャリアを積み上げていくことが成功への道である」というキャリア論が多く語られています。これはもちろんすばらしいアプローチだと思います。しかし、僕自身はこの考え方に違和感があります。もっと柔軟に偶然を楽しみ、かつ利用してみる。その結果として、納得のいくキャリアが出来上がっていたということもあると思うのです。

ただし、漫然と流されてはいけません。意図的にドリフトしてほしいのです。意図的にドリフトするとは、前回ご紹介したように自分にとって望ましい偶然が起こりやすい環境に自分をおいて、そこで起こった偶然をチャンスと考え、行動するということです。些細な不満で転職を繰り返したり、条件面だけを追い求めて仕事を転々とするドリフトではありません。このようなドリフトを繰り返しても、なかなか幸せなキャリアは築けないでしょう。

そして、意図的なドリフトの結果として自分に起こった偶然を生かすためにはポイントがあります。それは「美点凝視」。つまり、その仕事のプラス面をしっかりと凝視して、それをとことん追及するということです。よく「目先にとらわれるな」といいますが、僕は「目先を大切にしろ」と言いたい。目先を大切にし続けた蓄積が、あなたのキャリアを形成していくのです。

今の仕事、あるいは新しい仕事の美点は何か?まず、それを自分なりに考え、その一点を凝視してみてください。きっと仕事への取り組み方が変わってくると思います。そんな気持ちをもって目先の仕事を頑張ってみましょう。余談ですが、この「美点凝視」は部下の育成や上司との人間関係をスムーズにする上でも、とても役に立つ考え方だと思います。

来週は上手に偶然を呼び込み、やりたい仕事を手に入れたケーススタディを紹介します。

●Profile

野田 稔 (Minoru NODA)

多摩大学経営情報学部教授/(株)リクルート フェロー。

1981年、野村総合研究所入社。同社にて組織人事分野を中心に多数のプロジェクトマネージャーを勤める。経営コンサルティング一部長を経て、現職。 また、(株)アミューズに所属し、テレビ・ラジオ出演、著作・講演活動等でも活躍中。著書に 『やる気を引き出す成果主義ムダに厳しい成果主義』(青春出版社)、『コミットメントを引き出すマネジメント―社員を本気にさせる7つの法則』(PHP研究所)など多数。多くの企業、組織から研修講師などを務め、年間平均200本ものセッションをこなす人気コンサルタント。日本全国を飛び回る日々は続く。

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