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編集記事

“キャリア力”をつければ仕事はもっと楽しくなる!
「のだみ流・働(はた)(らく)論!」

第10回 今いる会社に転職する

  • 強い納得感をもって仕事をしている人は意外に少ない。
  • 自分の仕事の影響力をイメージしてみよう。
  • 今の仕事に意義を感じられますか?

「もっとやりがいのある仕事をしたい」「仕事で自分の潜在能力をもっと発揮したい」。人事組織コンサルティングの仕事をしていますと、クライアント企業の若くて優秀な社員の方々からそんな相談をされることが多いです。実際、自分の仕事に強い納得感を持って取り組んでいる人って意外に少ないのではないでしょうか。ちなみに、読者のみなさんはいかがですか?

では、やりがいを感じて自分の潜在能力が発揮できる、そんな仕事と出合うためにはどうすればよいのか? 最初にやるべきことは、あなたが今、取り組んでいる仕事をもっと意義ある仕事に変えていくことだと思います。コンサルティングの仕事をしていく中で、こんな話を聞きました。あるアパレル企業で働いている販売成績トップクラスの社員Bさんのケースです。

Bさんは、子ども服売り場を担当しています。ある日、展示してあるツーピース・スーツのスカートだけが欲しいというお客さんが現れ、その方にスカートだけを販売しました。その後Bさんは「もともと上下一そろいで展示してあったので別のスカートを合わせておかなければ」と思い、あまり深く考えることなく適当に選んだスカートをつけて展示しておいたそうです。これが、お世辞にもセンスのいい組み合わせではなかったようです。

ここで上司のCさんが登場。Bさんにこのような指摘をします。「その適当な組み合わせの洋服を、お孫さんの誕生日プレゼントとしてお祖母さんが買っていったとしよう。それをお孫さんが着て外に出かけた時、上下のバランスが悪いと友達からなじられたとする。するとお孫さんは、お祖母さんはセンスが悪いと考えるようになるかもしれない。君の適当な仕事が、かわいそうなお祖母さんをつくってしまう可能性があるのだ!」と。

Bさんは、「そうだった!」と反省しながら納得。それからは自分が販売している商品が購入者とその周辺に与えるさまざまな影響を考えながら仕事に取り組み始めました。そして、今まで以上に生き生きと働くようになったのだそうです。当然、売り場の業績もどんどんアップしていきました。

おそらくBさんはこの体験による意識変革によって、「職務充実理論」の3つの精神状態、「意義実感」「責任実感」「成果実感」に近づいたのでしょう。(※「職務充実理論」については第9回を参照)

Bさんは素晴らしい上司のおかげで、意識改革をすることができました。しかし、もちろん自分自身で意識改革を実現することはできます。まずはどこまでも今の仕事に没頭して、ひとつの新しい成功体験を手に入れること。そのプロセスを経験すれば、きっと仕事自体が昨日よりも楽しくなるでしょう。そしてBさんのように、自分の仕事が先々に与える影響をシナリオライターのようにイメージしてみるのです。そうすれば、今取り組んでいる仕事は自分にとってより価値あるものに変わっていく可能性があります。

今、あなたが取り組んでいる仕事をもっと意義ある仕事に変える努力をしてみる……。それが「今の会社に転職する」という考え方です。もしも他社への転職を検討しているのであれば、いったんこのプロセスにトライしてみることをお勧めします。この考え方をしっかり身につけておけば、他社に転職するときも、より納得感の高い転職を実現することができると思います。

次週からは、米国スタンフォード大学のクランボルツ教授が提唱する“Planned Happenstance Theory”(計画された偶発性)を用いながら、あなたのキャリア力を高めるためのノウハウを解説していきます。

●Profile

野田 稔 (Minoru NODA)

多摩大学経営情報学部教授/(株)リクルート フェロー。

1981年、野村総合研究所入社。同社にて組織人事分野を中心に多数のプロジェクトマネージャーを勤める。経営コンサルティング一部長を経て、現職。 また、(株)アミューズに所属し、テレビ・ラジオ出演、著作・講演活動等でも活躍中。著書に 『やる気を引き出す成果主義ムダに厳しい成果主義』(青春出版社)、『コミットメントを引き出すマネジメント―社員を本気にさせる7つの法則』(PHP研究所)など多数。多くの企業、組織から研修講師などを務め、年間平均200本ものセッションをこなす人気コンサルタント。日本全国を飛び回る日々は続く。

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