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編集記事

“キャリア力”をつければ仕事はもっと楽しくなる!
「のだみ流・働(はた)(らく)論!」

第9回 私たちはなぜ働くのか?(後編)

  • 自分の心理状態によって仕事への意欲は変わる。
  • ある女性秘書の悩みの原因は?
  • 傍(はた)を楽にするために働く。

アメリカの心理学者ハックマンとオルダムが提唱している考え方に「職務充実理論」というものがあります。これは、人々が仕事に取り組む際の意欲を高めるためには、特に以下の3つの心理的状態が重要であるというものです。

(1) 意義実感→「自分は価値のある重要な仕事をしている」という実感
(2) 責任実感→「自分にはこの仕事の結果に個人的な責任がある」という実感
(3) 成果実感→「自分の仕事がうまくいっているかどうか自己判断できる」という実感

やりがいのある仕事を自分自身でやり遂げられ、そしてその成果が実感できる。確かに、そんな素敵な働き方なら誰もがしてみたいですよね。現在、読者のみなさんが携わっている仕事に照らし合わせて考えてみるとどうでしょう。上記の3つの心理状態がうまく得られているでしょうか?

さて、先日ある大手企業の社長秘書である女性Aさんとお話をする機会がありました。役職は課長補佐、給与もなかなか、僕が考えるに高待遇といえるでしょう。でも、彼女は今の仕事をもう辞めたいと言うのです。例えばどんな仕事をしているのか、聞いてみました。

ある日の夕方、社内の事業部長が「社長に今日どうしても話したいことがある」とAさんに取次ぎを依頼します。Aさんは社長のスケジュールを見て今日は無理だと判断。その旨を伝えたのですが、事業部長は引き下がりません。社長自身にそれとなく聞いてみると「それは明日でもいい」と言う。再度、今日は難しいと伝えると、事業部長曰く「では、社長室で待たせてもらう」と。どうしてもらちが明かず、20時になったところでAさんは「本日は私がもう退社せねばなりませんので」と、事業部長に宣言。この判断と行動によって、やっと彼も今日のアポイントメントをあきらめたのだそうです。

「こんな電話番のような仕事に価値が見いだせないのです」とAさんは言います。しかし、僕がこの話を聞いた時に思ったのは、Aさん誰も傷つけることなく難局を乗り切ったということ。これは、マネジメントグルー(=組織の接着剤)としての重要な役割を果たしているということにほかなりません。そのことが把握できていれば、Aさんはこの仕事にもっと価値を見いだせたのではないでしょうか。

このケーススタディを通して僕が何をみなさんにお伝えしたいかというと、自分の働きが及ぼしている影響力をもっと広くイメージしてみましょうということ。昔から、「傍(ハタ)を楽(ラク)にするから、働くのだ」と言いますよね。仕事に仕えるのではなく、“ハタラクのため” に働く。そう考えていくと、あなたが今携わっている仕事も冒頭で説明した「職務充実理論」の3つの心理状態に近づいていく可能性があるわけです。逆に、その状態に近づいていく自分をどうしてもイメージできないなら、真剣に転職活動に取り組むべきではないでしょうか。

私たちはなぜ働くのか? 僕はこう考えます。自分自身が成長し続けるため、社会を維持していくため、そして仕事を通じて誰かを楽にするために、私たちは働くのだと思うのです。みなさんはいかがでしょうか?

さて、次回からのテーマは「今いる会社に転職する」です。「どういうこと?」と感じる方が多いかもしれませんが、仕事で深い充実感を得るステップとしてきっと役立つ考え方だと思います。どうぞお楽しみに!

●Profile

野田 稔 (Minoru NODA)

多摩大学経営情報学部教授/(株)リクルート フェロー。

1981年、野村総合研究所入社。同社にて組織人事分野を中心に多数のプロジェクトマネージャーを勤める。経営コンサルティング一部長を経て、現職。 また、(株)アミューズに所属し、テレビ・ラジオ出演、著作・講演活動等でも活躍中。著書に 『やる気を引き出す成果主義ムダに厳しい成果主義』(青春出版社)、『コミットメントを引き出すマネジメント―社員を本気にさせる7つの法則』(PHP研究所)など多数。多くの企業、組織から研修講師などを務め、年間平均200本ものセッションをこなす人気コンサルタント。日本全国を飛び回る日々は続く。

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